2023年4月18日(火)午後、隣町三木町の障害福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが、いつものように来室されました。
今回は、第23回のグループ音楽療法セッションです。
3人の利用者さんが、支援員さんと一緒にいらっしゃいました。
「みんないっしょに!みんないっしょに!」と来室時から言葉を発していたHさん。
支援員さんから、ここへ来る車の中でも、そう言って笑顔を見せていた、とうかがい、
嬉しくなりました。
独り言は多いけれど、会話が難しいHさんですが、
思っていること、感じていることを言葉にできるのです。
ただ、その独り言が、時と場所を選ばす、ちょっと声が大きいところが玉に瑕。
今回は、独り言の合間に時折発する「わあ~」という声が特徴的でした。
歌うことが大好きなIさん、Kさんもいらしていたので、
まず歌から始めました。
Hさんはみんなと一緒に歌うことはなかったですが、
歌いかけに応じて、タッチで挨拶したり、
1人ずつに歌いかけて発声を促す「大きくア」という歌では、
梶谷の歌いかけに応え、とても小さい声で「あ」と返してくれたりしました。
その時の声は、思わず発してしまう「わあ~」の時とはまったく異なり、
自分でよく調節しようとしている声でした。すてきです。
歌の後は、好きな楽器を楽しむ時間です。
Iさんは迷わず、プサルターを、
Kさんは、ボルドンライアーを選びました。
お二人とも、夢中で音を鳴らして、響きの中に没頭されていました。
さて、Hさんですが、
大きい声の独り言が目立ってきていたところでしたので、
大きいバッファロードラムを鳴らしてもらいました。
最初は自由に鳴らしていましたが、
少しすると、正面で身振り大きく合図をしている私に気が付き、
合図に合わせてドラムを打ってくれるようになりました。
その時、それまでとめどなく大きな声で発していた独り言は消え、
穏やかな表情で、黙ってドラムを打つHさんがいました。
大きなバッファロードラムを鳴らす時、
手に楽器や打棒を持って操作することによる手からの刺激、
同時に、耳で音を聴く、合図を見るなど、耳や目からの刺激、
それらの複数の刺激が、Hさんに同時に入力されます。
おそらく、同時に複数の刺激を受け止めながら(入力)、
演奏するという表現(出力)をすることにより、
独り言を発するという出力が打ち消されたのではないかと思います。
これは、その後に演奏にチャレンジしてもらったプサルターでも同様でした。
Hさんにプサルターを鳴らしてもらう時に、
いつも硬く組んでいる脚を開いて、間に椅子を置き、
プサルターを設置しました。
膝を開くことで、身体全体の緊張も緩みました。
プサルターの弓を持つ手を少し介助しながら、
ゆっくりと弓を動かし、プサルターの弦を鳴らすと、
穏やかに、静かに、Hさんの音が響きました。
音楽活動に取り組むことにより、
Hさんは緊張を解き、独り言から解放され、
穏やかに、仲間と一緒に演奏を楽しむことができたのでした。
音楽活動により行動を調整できる可能性を、改めて感じたセッションでした。
また一緒に楽しみましょうね。
次回もお待ちしております。
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