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音楽療法&声・ライアー(竪琴 音楽療法&声・ライアー(竪琴

2023年8月29日(火)午後、

隣町三木町の障害福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが、

支援員の方と一緒に、もみの木音楽舎にいらっしゃいました。

今回は、男性利用者さんたちです。

第41回いっぽグループ音楽療法セッションを実施しました。

 

2週間前の火曜日、台風のために施設がお休みになり、

この音楽療法セッションも中止になってしまったので、

男性利用者さんたちは、1回セッションがとんでしまったのです。

そのためもあってか、今回はいつもに増して、楽しみにしてくださっていた様子。

前回から2つに分かれての来室となった男性利用者さんたち。

まずは1グループめのTさん、Yさん、Koさんの3名の利用者さんと、支援員さんです。

 

歌を歌いたい方たちなので、まずは身体をリラックスさせ、

姿勢を整えるために、軽く身体を動かしました。

もちろん狭い音楽室内ですから、座ったままで行います。

腕を上げたり、下げたり、肩を回したり。

背中が丸くなりがちですが、言葉をかけるとさっと姿勢を正してくださいました。

ボディイメージを自分でつかむことが難しい場合は、

姿勢の崩れも自覚が難しいので、

言葉をかけてあげることが大切です。

 

次に、発声練習として、口をよく動かしながら、

「うたえバンバン」をみんなで歌いました。

 

そして、今回からは、一緒に歌うレパートリーを増やそうと、

一緒に楽しみながら、1曲ずつ歌を少しずつ覚えていこうという試みを始めてみました。

最初は「手のひらを太陽に」と「少年時代」の2曲を取り上げました。

読みやすく、ひらがなで分かち書きにした歌詞カードを作り、

歌詞を確認しながら歌っていきました。

 

「手のひらを太陽に」は、皆さん知っている、とのことですので、

一度みんなで歌詞を読み、みんなで歌ってみてから、

歌詞の1行ずつ、一人で歌って、順番に歌っていく、ということに挑戦してみました。

ちょっと恥ずかしそうにしながらも、皆さん楽しんで、しっかり歌ってくださいました。

そして順番を変えて、もう一度。

1回目より2回目のほうが、緊張も抜けて良い声が出ていました。

その後、「少年時代」を歌いました。

なんと、この曲を、Tさん、Yさんは知らないとおっしゃいました!

Koさんは、「学校の先生がギターで歌ってくれたことがあるでしょう?」と訊いてみたら、

「ある!」とのこと。でも、聴いたことがあるくらいなんだそうです。

なんと、付き添いの支援員さんも、聴いたことがある、のレベル。

世代の差を感じますね…。トホホ。

でも、気を取り直して、ゆっくりと歌っていきました。

美しいメロディと、すてきな歌詞。

この夏の終わりの、ちょっと淋しい気分を味わいながら。

しばらく、この2曲をみんなで歌っていきたいと思います。

 

その後は、久しぶりに、ライアーを弾きました。

オーシャンドラムと合わせて、波のように。

大きい楽器は苦手、といつも言っていたTさんも、

少し小ぶりのクライネ・ソプラノライアーや、ボルドンライアーを鳴らしてくれました。

 

オーシャンドラムを順番に交代しながら鳴らして、

ライアーと合わせて音の波を奏でていきました。

オーシャンドラムは、小さな銀色の粒がたくさん動くことに目を奪われます。

視覚・聴覚と同時に、そっと静かに鳴らすためには、

身体の内部感覚(固有感覚・前庭感覚)を繊細に働かせなければなりません。

鳴らすのはちょっと難しいな、と、ちょっと苦手意識があった様子のKoさんにも

支援員さんと一緒に挑戦していただきました。

 

音楽療法では、楽器は目的をもって使用します。

今回は、身体感覚に働きかけるために、オーシャンドラムを用いました。

楽しみながら、繰り返し、今後も取り組んでいきましょう。

 

さて、続いて来室されたのは、2グループめのHさんと支援員さん。

Hさんは、先週末、御家族で旅行に出かけられたそうで、

生活のリズムがまだよく戻らず、興奮した様子で、ちょっと辛そうでした。

しかし、手を激しくたたきながら、音楽室内を歩き回りながら、

ある一定のリズムのフレーズを口ずさんでいました。

手を激しくたたくのも、きっと手が痛いだろうなと思い、

タックドコンガを差し出してみました。

Hさんは、とても興奮している時でも、楽器を乱暴に打つことはない方です。

この時も、タックドコンガを柔らかく手で打ち返してくださいました。

Hさんが口ずさむリズムに合わせて、私が打つと、

Hさんもトントンと打ち返し、少しの間ですが、穏やかな場面を過ごすことができました。

 

この後も、木魚を差し出してみると、

歩き回るのをやめて、コンコンと優しく打って、

その音に耳を澄ましているような様子が見られました。

とても優しい音でした。

Hさんの内面の繊細さが表れていると感じました。

様々な要因で、心身の緊張が高まりやすく、

興奮してしまうと自分でも抑えられない様子のHさんですが、

音、音楽の力を用いて情動の調整を促し、

ほんのひと時でも、心休まる時間を作ることができればと思います。

 

皆さん、また一緒に音楽しましょう。

次回も楽しみにお待ちしています。