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音楽療法&声・ライアー(竪琴 音楽療法&声・ライアー(竪琴

2023年10月24日(火)の午後、

三木町の障害福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが、

いつものように支援員さんと一緒に、もみの木音楽舎にいらっしゃり、

第49回いっぽグループ音楽療法セッションを行いました。

今回は男性利用者さんたちの日です。

1組めは、TさんとYさん。

2組めは、Hさん。

 

TさんとYさんは、歌と楽器のメニューを楽しみにいらしています。

ピアノの音に合わせて、ストレッチを行い、姿勢を整えたら、

「手のひらを太陽に」を歌い、ウォーミングアップをしました。

歌詞を1行ずつ、交代しながら歌い、

その後、2人で一緒に歌いました。

1行ずつ交代しながら歌うほうが、一緒に歌うよりも難しいかなと思いますが、

誰かと声を合わせて歌うことがちょっと苦手なTさんにとっては、

1行ずつ歌うほうが、2人一緒に歌うより、歌いやすかったみたいです。

2人一緒に歌い始めると、とたんに声が小さくなってしまい、

時折、大きく飛び出すように歌う、という特徴ある歌い方になっていました。

Yさんは、とってもマイペースなので、

どちらでも変わりなく、大きな声で歌えています。

しかし、誰かと一緒に合わせて歌う、ということについては、

お二人ともそれぞれに困難を抱えているんだなあということがわかります。

 

自分の声と他の人の声、そしてピアノの伴奏の音を、同時に聴きながら、

合わせて歌うということは、

当たり前にできる人にとってはなんでもないことですが、

感覚統合にハンディがある方にとってはとても難しいことなのです。

このセッションの場では、感覚統合の「訓練」的にはせず、

あくまでリラックスして楽しみながら、

なるべく他者の声や音を聴きつつ、

歌ったり、音を鳴らしたりする経験を重ね、

少しずつ、ぴったり合う心地よさを感じていっていただきたいと考えています。

 

2組めは、Hさん。

Hさんは、大きな声で独り言を繰り返している状態の日がありますが、

今日もそういう日でした。

それでも、以前と明らかに変わってきていることは、

このセッションに来られることを、楽しみにして、

見通しと意欲をもって、音楽室に入室されることです。

入室するとさっと席に着かれ、

セッションに向かう気持ちが満ちているのが感じられました。

フィンガーシンバルを鳴らしながら、歌いかけると、

私と一緒に左右に身体を揺らして、聴き入ってくださいました。

その間だけは、独り言も止み、集中されています。

 

しかしその後はまた大きな声の独り言が続き、

落ち着かない様子で、室内をあちこち動き回る状態になられました。

いくつかの歌を歌いかけてみると、

ほとんどは反応がありませんでしたが、

バッファロードラムを提示し、マレットを手渡し、

「おおきなたいこ」という歌を歌ってみると、

歌に合わせて非常に的確に、リズムも正確に打つことができました。

この歌を聴き、いつかどこかで体験したことのあるこの歌のリズム遊びを思い出し、

そしてそれを私と一緒に再現することができたのです。

すばらしいと思いました。

 

しかし、Hさんがもっている可能性は、

彼のふだんの姿や様子からはとても見えにくいものです。

誰が、こんな力が彼にあると思うでしょう。

音楽がHさんの可能性を拓く鍵になると、改めて感じた今回のセッションでした。

 

また次回も楽しみにお待ちしております。

 

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ふだん、相手に合わせることが苦手な、自閉的な傾向のある方でも、

音楽や歌を支えにすると、他者と協調して活動できる可能性が広がります。

楽しい気持ちで、その経験を重ねていくことができるのが、

音楽療法の良さです。