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音楽療法&声・ライアー(竪琴 音楽療法&声・ライアー(竪琴

2023年8月1日(火)午後、隣町の三木町から、

障害福祉サービス事業所いっぽの皆さんを、もみの木音楽舎にお迎えし、

第38回のグループ音楽療法セッションを行いました。

今回は、男性利用者さんの日。

これまではみんな一緒に行ってきましたが、

個別のニーズに合わせて音楽療法を行うために、

今回から男性利用者さんの中でグループ分けをしてみました。

 

1グループめは、TさんとKoさん。

この2人だけでのセッションは初めてでした。

話すテンポがまったく違う2人。

歌の好みも違いました。

自分の歌いたい歌を次々とリクエストするTさんに対し、

考え込んでなかなか言い出せないKoさん。

歌も、それほどたくさん知っているようではなく、

歌いたい気持ちがあるのに、もどかしいのでしょう。

そこで、今回はあえてTさんもKoさんもあまり知らないと思われる、

世界の民謡を歌ってみることにしました。

「サンタルチア」「車にゆられて」など、

「ゆったりした歌がいい」と言ってくれたKoさんの希望にも、

明るい歌が好きそうなTさんの好みにも合うかな、

と思いながら選んで、歌ってみました。

 

障がいのある方は、自分の知っていること、物、

おなじみのものにこだわりがあったり、

こだわりがなくても、安心感を求めて、

いつも同じ、になってしまうことが少なくありません。

でも、安心できる環境ができれば、

新しい世界に目を向けて、少し冒険してみることもいいことです。

TさんもKoさんも、もうだいぶここでのセッションに慣れて、

リラックスできるようになってきました。

だからそろそろ、知らないこと、やったことないことにも、

挑戦していただこうと思います。

彼らの変わるべきタイミングを見極めて、

そっと背中を押してあげる感じです。

 

「サンタルチア」も「車にゆられて」も嫌いではなさそうでしたね。

イタリアやメキシコという国の歌なのよ、と話すと、

Tさんから「おーシャンゼリゼ」を歌いたい、とリクエストが上がりました。

この歌は、以前からみんなで歌ったことがありましたね。

一緒に歌った後、これはフランスの歌よ、と話し、

フランス語の「こんにちは」である「ボンジュール」の発音を

一緒に練習しました。

フランス語は、日本語よりも口をよく動かして発音しますから、

口の動きの練習にはとても良いのです。

唇を尖らせて発音することを、口元を見せて伝えると、

2人とも一生懸命に言ってみて、うまく言えない、と大笑い。

何事も、楽しみながら少しずつやっていきましょう。

 

楽器は、Koさんが琴をリメイクした琴音を選び、

Tさんにはトライアングルをお勧めして、一緒に即興演奏を楽しみました。

鳴らし方がだんだん上手になってきて、きれいな響きになってきました。

 

次回は、大きなゴングも使ってみよう、とTさんと話して終わりになりました。

新しいチャレンジ、続けていきましょう。

 

2グループめは、Hさん。

このところ、興奮した様子がよく見られ、

全員一緒のセッションでは、リラックスが難しいのでは、と考えて、

個別セッションにさせていただきました。

 

でも、どんなに興奮している時でも、

楽器の音は優しく鳴らし、扱いもとても丁寧なのがHさんの素敵なところなのです。

今回も、かなり興奮して来室されましたが、

彼の発する言葉に応じて話したり、歌ったりしながら、

ツリーチャイムやカリンバを差し出し、

一緒に即興演奏を行いました。

短い時間ではありましたが、

自分の鳴らした音に耳を傾け、そしてまた鳴らし、という姿が見られました。

 

カリンバを鳴らした時には、

しばらく静かに親指でカリンバを奏でた後、

「もういいよ。」という表情で、丁寧に私に返してくれたのです。

 

楽器を手渡したり、差し出したりする時は、

その人の呼吸の変わり目を察して、渡します。

変わり目を見極めることが大事です。

 

完全に興奮状態が抜けてはいなかったものの、

来室時より呼吸がゆったりと深くなり、

大きな声を発する頻度も少なくなって、帰られました。

 

次回も楽しみにお待ちしています。