2024年1月28日(日)に、毎月1日だけ、高松市内の会場でセラピー&レッスンを行う、もみの木音楽舎第21回日曜講座を開きました。
今回は、午前11時から午後5時までの時間枠のすべてに個別に御予約をいただき、
最後の枠を除いた他はすべて、幼児の音楽療法・音楽療育のセッションをいたしました。
(ちなみにこの日最後の枠1時間は、中学生のきょうだいのボイストレーニングをいたしました。)
もみの木音楽舎は、音楽療法士が開いた音楽教室です。
0歳から御高齢の方まで、障がいの有無に関わらず、
どなたも安心していらしていただける音楽教室として、
香川県内外から様々な方がいらしてくださっています。
<もみの木音楽舎のレッスンメニューについては、
こちらを御覧ください。⇒ https://mominokiongakusha.com/lesson/ >
もみの木音楽舎では、音楽療法的なレッスンという意味合いで、音楽療育という言葉も用いています。
つまり、音楽療育も音楽療法の一つの形です。
もみの木音楽舎では、「音楽療法」と「音楽療育」とは明確な線引きはせず、
いずれの言葉も使います。
わかりやすく言うと、
まずは音と親しみ、好きな音を見つけ、セラピストの私と信頼関係ができて、
一緒に活動に取り組むことができるようになる頃までを「音楽療法」と言ったり、
「レッスン」に近い場面が多くなってきたら「音楽療育」と言ったりしているということです。
たとえばピアノのレッスンと言えば、ピアノを弾く技術を身に付けることが
第一の目標になりますよね。
(もみの木音楽舎には、ピアノレッスンに通っているお子さんもいらっしゃいます。)
でも、音楽療法・音楽療育では、ピアノを弾く場面、練習する場面が含まれるようになったとしても、ピアノの演奏技術を身に付けることが第1の目標ではなく、ピアノを弾くことを通して、その対象者の方の課題にアプローチすることが第1の目標になるのです。
「音楽療法」「音楽療育」を受ける=障害児・者というわけではありません。
音楽療法の対象者は、障害児・者に限定されているのではないですから、
どうか誤解をなさらぬようにお願いします。
もみの木音楽舎には、
はっきりと発達障がいや自閉スペクトラム症、ダウン症候群などの診断を受けているお子さんだけでなく、
発達が少しゆっくりめで集団になじみにくい、
コミュニケーションの力を伸ばしたい、
何か好きなことを見つけたい、
ふつうのピアノ教室ではレッスンを断られてしまった、
というような様々な理由で、
お子さんを連れていらしている御家族も多いです。
今回の日曜講座には、初めての御家族が2組、音楽療法・音楽療育セッションを求めていらっしゃいました。
どうかどうか、細く長く、休み休みでもいいから、
続けていただきたいと思います。
音楽療法は、魔法ではありません。
ガンガンやったら成果が出ます、というようなものでもありません。
有能な音楽療法士であれば、薬を処方するように、
1日で何か成果があがるセッションができるというものでもありません。
何か月も何年もセッションを積み重ねることで、
非常に重い障がいのあるお子さんであっても、大きくなって、
その子だけの花が咲くように、
音楽からの贈り物が、目に見える形になります。
そんな長期的な視点で考えていただけると、
音楽療法・音楽療育にしかないメリットが確かに感じられるものです。
最初は何をしているのかわからないような、
ただ楽器で遊んでいるだけのように見えるセッションを重ねていくと、
その時期に個人差はあるものの、
どのお子さんも少しずつ、本当に少しずつですが、
音楽療法の最初の道のりを一歩、二歩と進み始めます。
しかし、よかったなあ、これからだなあと楽しみにしていたら、
だいたいはちょっと停滞期に入るパターンが多いのです。
ところが、そこですぐに、親御さんが、これはうちの子には合わない、
もっと他にいいお教室があるのでは?などと思われるのでしょうか、
ぱたっといらっしゃらなくなるケースがたまにあります。
そんなケースでは、
それまでその御家族が1カ月、2カ月と通ってきてくださったことが、
辞めてしまうことで、まったく水の泡になってしまうということと、
もうしばらく辛抱して見守っていただけたなら、
また必ず次のステップに進んでいくのに、
ということが私には見えているので、
心底、もったいない、残念だなあという思いながら仕方なく
「またいつでもいらしてくださいね。」とお別れをします(涙)。
この子がいつかピアノを弾けるようになったら、とおっしゃっていらしたのに、
ここで辞めてしまうのね、と本当に残念でなりません。
長い目で見ていただけたら、
着実に、あなたのお子さんは、音楽を生涯の友にできる人になれるんです。
ほんとですよ!
それが証拠に、うちの最重度の知的障がい判定を受けている息子は、
大好きなピアノを日常的に自発的に楽しめる人になっておりますし、
私は他にもそういうお子さんたちにたくさん関わってきたのですから。
・・・お辞めになった方には「もう、とどかない、贈る言葉」ですけど(苦笑)。
でも、このブログを読んでくださったあなたにもしお子さんがいらしたら、
どうかこの言葉を受け取ってください。
「子どもの音楽療法・音楽療育は、気長に取り組むべし。」という言葉を。
この写真のお子さんは、毎月の日曜講座をとても楽しみにしてくださって、
昨秋から通い続けてくださっています。
これは今回の日曜講座でのセッションの一場面です。
彼の中には、もう音楽が息づいています。
私はセラピストとして、また一人の音楽家として、
彼の音楽に寄り添いながら、
大きく豊かに育つ支援をさせていただきたいと思っています。
また来月もお待ちしています!