ブログ

音楽療法&声・ライアー(竪琴 音楽療法&声・ライアー(竪琴

私の息子は、29歳。

最重度の知的障がいと自閉症、

そしてクライネ・レビン症候群という100万人に一人の睡眠障害をもち、

言葉を話すこともできません。

でも時々、私と一緒にピアノを弾くことを楽しみます。

 

先日、さぬき市にも珍しく台風で警報が発令され、

息子の通所施設がお休みになり、

私のもみの木音楽舎も、午前・午後のレッスン・セッションがお休みになり、

ぽっかりと息子と共に過ごせる時間ができました。

こんな時は、息子と少しゆっくり時間をとってピアノが弾けます。

 

息子が楽しめるピアノのレパートリーはごく少ないのですが、

この日はそれを順番に一緒に弾いて楽しみました。

今年になってから新たに練習し始めている「ドレミファソング」。

これは、音楽療法士の高山 仁先生による作編曲・著の、

『「生きる力」をはぐくむ音楽活動 みんなで音楽』に紹介されている曲です。

息子のパートはひたすら、「ドレミファソ―、ソファミレド―」を

両手で繰り返して弾くのですが、

私の伴奏に合わせて、2ページの曲の最初から最後まで、

一緒に、呼吸とテンポを合わせ、弾き切ることができるようになりました。

 

息子は小学校1年生のころから、ピアノを始めました。

母と子の間でのレッスンは、甘えが出たり、厳しすぎたり、

うまくいかないと思い、

信頼できる先生を探し、頼み込んで、電車を乗り継ぎ、

たくさん歩いて、レッスンに通いました。

音楽療法にも同じ時期に通い始めました。

引越しもしたので、そのたび、先生やセラピストを探し、

私とも途切れなく一緒に音楽を続けて、大きくなりました。

 

障がいがあっても、とても上手にピアノを弾きこなす方がいます。

しかし、我が息子はそういう才能にはまったく恵まれておりません。

それでも、息子は、出会った多くの楽器の中で、ピアノを選び、

ピアノを弾きたいという気持ちを持ち続けています。

上手になりたい、というよりは、

ピアノの音が好き、一緒に弾いて楽しみたい、という気持ちのようです。

親馬鹿かもしれませんが、それでいいと私は思っています。

 

並んでピアノを弾きながら、少し頬を緩めて微笑む横顔を見ると、

私も嬉しくなります。

私の模倣をして、ワンテンポ遅れて弾いていたのが、

今ではほぼ同時に、私と合わせて

「ドレミファソ」と弾けるようになりました。

そんなの当たり前にできるでしょう、と思われる方もいるでしょうが、

私の息子は、重いハンディがあるのです。

「ドレミファソ」と弾いたら、

「ソファミレド」と戻ってくる、ということも

ここ数年でようやく覚えられたのです。

今では、「ドレミファソ・ソファミレド」が、

息子と、心と心でつながるフレーズになっています。

幸せだなあと思います。

 

音楽の楽しみ方は、いろいろです。

一人一人に合った楽しみ方が、

ゆっくりじっくり、あきらめなければ、

こうして見つかります。

可能性の芽を見つけ、育てること、

それがもみの木音楽舎での私の仕事です。

 

Instagramにこの日の演奏の様子を少しだけ、

動画で紹介させていただきました。

下記のQRコードをスマホなどのカメラで読み込んでいただければ

動画を御覧いただけます。