2023年9月26日(火)の午後、
さぬき市長尾の隣町、木田郡三木町から、
障がい福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちがいつものように来室されました。
週に一度のいっぽグループ音楽療法セッションも、今回で第45回になりました。
今回の顔ぶれは、男性利用者さんたちです。
1組めは、TさんとYさん、そして支援員さん、
2組目は、Hさんと支援員さん です。
1組目のTさんとYさんは、いつもとても元気いっぱい。
この日もムシムシと暑い日でしたが、
午前中は、三木町内にある白山(しらやま)に理事長さんと一緒に登ってきたのだそうです。(理事長さんも、めちゃくちゃお元気!!)
いっぽさんは、御家族で経営されている、小規模でアットホームな事業所さんですが、
フットワークの軽さが一番の持ち味だと思います。
なにしろ、音楽療法セッションのために、
隣町のもみの木音楽舎まで、毎週、利用者さんたちを車で連れていらっしゃるのですから。
こんなケースは、全国的にも珍しいのではないでしょうか。
利用者さんたちのために何ができるか、どうすればもっとよいサービスが提供できるかを
いつも中心に据えて考えていらっしゃる、いっぽさんの運営姿勢に私はとても共感します。
さて、TさんとYさんのセッションについてです。
最近は、歌うことと楽器の取組みが定番となってきました。
定番の活動ができることはよいことです。
見通しをもって活動に臨むことができますし、
繰り返すことで積み重ねができます。
ピアノに合わせて身体のストレッチから始め、
発声練習・発音練習を兼ねて、「うたえバンバン」や「手のひらを太陽に」を歌います。
耳で聴いて覚えてもらう曲と、歌詞カードを用意して、読みながら歌ってもらう曲を用意し、
「歌う」ことに、あえてプラスアルファのタスクを加えています。
楽しみながら歌って、いわゆる「脳トレ」です。
その後、メロディや歌のもつ雰囲気を味わいながら歌う曲を一つ。
元気で楽しい歌ばかりでなく、季節を感じたり、
大人の雰囲気のしっとりした情感があったりする歌にも挑戦しています。
Tさんは、いろんな歌を歌いたい、人前で歌いたいとよく話してくださるわりに、
みんなで一緒に歌うと、途中は歌わずにいることがあります。
怠けているのでも、気が散っているのでもなく、
伴奏や他者と声や呼吸を合わせて歌うことが苦手みたいです。
でも、聴いているのです。
聴いていることが、今、Tさんにとって、良い経験になっているのだと思います。
歌いたい歌は?と訊くと、
たくさんあるようで、でも、「この歌がいい。」となかなか言えないお二人。
ここで、いろんな歌に出会っていきましょうね。
歌の後は何がいい?と訊くと、「ライアー!」と声をそろえておっしゃいました。
今回もみんなでライアーを弾きました。
「音の風」と私が呼んでいる、グリッサンド(弦をなでて、かき鳴らす)をします。
まだまだ力が抜けないのですが、響きを聴こうとしているのがわかります。
特にYさん、とても丁寧に鳴らそうと、腕をゆっくり動かすことができるようになってきました。とてもいいです。
また弾きましょうね。
そして2組目のHさん。
Hさんは、前回、それまでのセッションとはまったく違う、落ち着いた姿を見せてくださいました。
今回も、もみの木音楽舎でのこの時間を楽しみにして来てくださったことがわかりました。
最初は、「こんにちは」の歌や、ボディパーカッションをしながら、話しかけ、
Hさんのやりたいことを訊いていきました。
すると今回は、なんとこれまで触れることがなかったピアノに向かわれました。
右手で、指先を使って、鍵盤を順番に鳴らすことができて、
しかも、とても丁寧に、きれいな音で弾くことができました。
さらに、梶谷と交互に、ピアノを鳴らし、ピアノの音で対話ができそうな感じです。
Hさんは片言を少し話されますが、すらすらと自分の思いを語ることは難しい方です。
音で思いを紡いでいくことができるようになれば、
この先、とてもすてきなコミュニケーションがとれる可能性があると感じました。
また一緒に弾きましょうね。
やりたいことを少しずつ、自分で選んで取り組んでいく。
それが、もみの木音楽舎の音楽療法の基本姿勢です。
好きなことを見つけていくお手伝いをしております。