2024年3月5日(火)の午後、朝から降り続く冷たい雨の中、
隣町の三木町から、障がい福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが、
もみの木音楽舎に来室されました。
今回は男性利用者さんたちと、第67回いっぽグループ音楽療法セッションを行いました。
男性利用者さんは2つに分かれて来室されます。
1つめのセッションは、TさんとYさん、
2つめのセッションは、Hさんです。
前回から取り組み始めた、手遊びや手指の体操。
手指の器用さだけではなく、見て模倣する力も求められます。
たとえば「茶つぼ」という手遊びでは、
握りこぶしのどの面に手を当てるのかが意外とわかりにくいということに
気付きました。
次回は、手にテープなどを貼ってやってみましょう。
そして今度は、全身を使う動き。
リクエストに応えて歌っているドラえもんの歌を歌いながら、
布を両手に持っていただいて、自由に動いていただきました。
二人とも、最初は小さい動きでしたが、拍子やリズムを感じて、だんだん大きな腕の振りになっていきました。
振付を真似るのではなく、聴いた音楽の拍子やリズムを感じ取って
身体の動きで表現することにも、取り組んでいきたいと思います。
楽器の活動では、
Tさんが自分からプサルターを選ばれました。
あまり自分から新しいものにトライすることがないTさんでしたが、
身体を動かした後だったからでしょうか、
今回はYさんより先に、自分で初めてプサルターを選ばれました。
Yさんはライアーを選ばれて、
二人で、一音ずつ交互に鳴らし合い、聴き合ってみました。
一つの音に集中して鳴らすことは、単純そうでいて、
なかなか奥が深く、難しいものです。
一つの楽器に向き合い、繰り返して取り組んでみるのもよいと思いました。
次回も、お二人の要望をうかがいながら、提案してみたいです。
さて2つめのセッションは、Hさんの個人セッションです。
今回は大きい声での独り言が多く出ていて、
座ると、しっかりと脚を組み、身体が緊張している様子でした。
前回までは「幸せなら手をたたこう」などの歌に合わせて
手をたたいたり、ハイタッチをすることから始めていたのですが、
もしかしたら、手をたたくことが自傷行為や独り言の発声の誘因の一つになっているのかもしれないと感じたので、
今回からはそれをやめ、手をたたく代わりに、楽器を用いることにしました。
トライアングルやツリーチャイムを使って、
歌いかけに合わせて鳴らしてもらうことに主に取り組んでみました。
曲の途中で、独り言が始まり、大きな声になっていき、
独り言の世界に入っていってしまうことが多い中で、
これらの楽器を、歌に合わせて合図をして鳴らしていただくという活動に取り組んでいただきました。
前回効果があるかもしれないと感じた、アイコンタクトと手による合図を意識的に用いると、
Hさんが途中で独り言の世界に行ってしまいそうになることを
ある程度引き留め、曲の最後まで音楽の中にとどまっていただくことができました。
少しずつ、Hさんに届く働きかけを探求していきます。
今回は、2つのセッションともに、
いかにして音や音楽の世界に集中して入り込むことができるか、
そのためには何が必要なのか、ということについて
考えながら行いました。
今後も考え続け、試行錯誤しつつ続けていきます。