2023年11月14日(火)午後、
隣町の三木町から、障害福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが、
支援員さんと一緒に、もみの木音楽舎に来室され、
第52回いっぽグループ音楽療法セッションを行いました。
今回は女性のお二人の日。
仲良し姉妹のIさんとKさんです。
午前中は、いっぽの仲間と一緒に、三木町の白山登山をしてきたというお二人。
もう何度も登っているからか、事もなげに「登ってきました。」とおっしゃるけれど、
けっこう急なところもあるそうで、お元気だなあと感心します。
そんな話をしてから、いつものようにピアノに合わせてストレッチから始めました。
身体をほぐした後は、口周りもほぐそうと、
早口言葉に挑戦していただきました。
おっとりしたお二人は、早口言葉をゆっくり言ってくださいました。
テンポを上げようと手をたたきながらやってみましたが、
ちょっと難しそう。
それでは、ゆっくりでもいいから、はっきり話そうということにしました。
口をあと指一本分くらい大きく開けたほうがいいです、とIさんには伝え、
逆に、指一本分くらい小さく開けましょう、とKさんには伝えました。
そうすると、ちょうど同じくらいの口の開け方になり、
お二人とも言葉がはっきりしてきました。
早口言葉の後は、前回リクエストのあった、「アルデバラン」を歌いました。
1番だけ、歌詞を読み、言葉の意味の難しいところはないか訊いて、
わかりやすい言葉で説明してから、歌ってみました。
聴くと歌うでは大違い。
この曲は、リズムも音程も複雑なので難しいのです。
ゆっくり少しずつ、また歌っていきましょうね。
続いて、音つみきを使った、簡単な演奏に取り組みました。
ラとシの2音だけのシンプルだけど美しい「夕暮れの二人」と私がタイトルを付けた曲です。
曲の最後まで、ようやく辿り着き、
ピアノに合わせて練習してみました。
音つみきの鳴らし方もコツが必要で、
きれいに響かせるためには、まだまだマレットの持ち方や扱い方の練習が必要ですが、
少しずつ上手になってきて、すばらしいです。
この後、いつものようにライアーの練習もしました。
腕、ひじ、手首、指の脱力が課題のお二人。
「音の風」を繰り返し弾いてから、
4、3、2の指をそれぞれ1本ずつ使い、グリッサンドをしていきます。
腕を上げて下ろすという動きの中で、自然に弦に触れて鳴らしていくことを
何度もやっていくと、
今回は前回よりもだいぶ脱力して弾けるようになってきました。
とてもとてもすばらしいです。
こうしてセッションが終わった時のお二人です。
とても良い笑顔。
今日は何が一番楽しかったかを訊くと、
音つみきで演奏したことだとおっしゃいました。
支援員のTさんが、
「先生(梶谷)が自分たちのことを認めてくれるのがとても嬉しい。」と
お二人が話してくれるんですよ、と教えてくださいました。
それをうかがって、私も嬉しくなりました。
音楽療法は、音楽を上手にできるようになるためのレッスンではありません。
しかし、IさんとKさんの音楽療法では、
あえて「レッスン」のような取り組みをしています。
それは、向上心あふれるお二人だからこそです。
楽しみながら、これができるようになった!面白い!
そして、褒めてもらえて嬉しい!という気持ちを、
いっぱい味わっていただきたいと思っています。
自信がついてきたからか、
支援員のTさんに、お二人がよく話しかけてくれるようにもなったのだそうです。
音楽療法セッションの成果が、
日常生活の中に生かされていく。
これが、もみの木音楽舎で私が取り組んでいる音楽療法のめざすところです。
障がいある方の思いを受け止めながら、進めていきたいと思っています。