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音楽療法&声・ライアー(竪琴 音楽療法&声・ライアー(竪琴

2024年12月9日(月)

本日は、「香川県高等学校教育研究会 特別支援教育部会 音楽教育研究会」という、

香川県下にある特別支援学校の音楽の先生が参加される研修会に、

講師としてお招きいただき、

香川県立視覚支援学校に行ってまいりました。

重度障がいの子どもたちのための音楽授業づくりについて学びたいという御依頼でしたので、

「重度障がいのある子どもの『能動的に聴く』力を育てる音楽授業づくり」というテーマでお話をさせていただきました。

 

 

「能動的に聴く」とは、

単に、音声や音楽が聞こえている状態であることや、

流れてくる音楽を鑑賞するということではなく、

その人が全身で集中して感じとり、受けとめようとすることと捉えています。

そして「能動的に聴く」力を育てる、ということを、

私は、音楽療法士として音楽療法に取り組む際も、

以前に特別支援学校で教員として音楽授業づくりに取り組んでいた時も、

常に念頭においてきました。

 

それはなぜかというと、

音源に気づき、そこに積極的に注意を向け、

能動的に聴こうとすることにより、

全身で感受する力が高まるからです。

そして感受する力が覚醒することにより、

周囲からの働きかけに対する気づきや、

注意の持続を支え、

意思の表出や表現を促す鍵となるからです。

 

私は、東京都立特別支援学校の教員時代、重度知的障害だけでなく、

身体障害、視覚や聴覚の障害も併せ持つ子どもたちに対する音楽授業を担当していた中で、

どんなに重い障がいのある子どもたちでも、

「能動的に聴く」力を育むことにより、

彼らの中に眠っていた感受する力を呼び起こすことができると実感しました。

その瞬間の、輝くような笑顔や、

もてる力を振り絞っての表現の煌めきを、

何度も目の当たりにしました。

本日は、県下の、知的障害、肢体不自由、病弱、視覚、聴覚の全ての校種の支援学校から集まって来られていた音楽の先生方に、

そのような事例を上げつつ、

「能動的に聴く」力を高めるための取り組みの道すじをお伝えし、

具体的な取り組みについて実演を交えて紹介させていただきました。

先生方皆さん、1時間の私の話が終わった後も、

ライアーをはじめとして、

持参した楽器についての質問をいただくなど、

対話が尽きませんでした。

 

「能動的に聴く」ことができれば、

重度の障がいがる子どもたちも、共に音楽をすることができます。

「感受する力」は、その子の生きる力を輝かせるのです。

 

香川県に、真摯に障がいのある子どもたちに向き合い、

授業づくりに熱心に取り組まれている先生方がこんなにいらっしゃると知り、

音楽療法士として、元教員として、

重度障がいをもつ子の親として、

とても嬉しく思いました。

 

先生方と同じく、

音楽で障がいのある子どもたちと関わる人間として、

私も今後も日々精進を重ねていきます。

 

本日はありがとうございました。

今後ともよろしくお願い申し上げます。