2023年4月4日(火)の午後、隣町の三木町から、いつものように障がい福祉サービス事業所いっぽの利用者さんたちが来室され、グループ音楽療法セッションを行いました。
今回は、NさんとHさんの二人と、支援員のTさん。
Hさんはいつもよりも少し興奮していて、来室時より大きめの声で独り言を発していました。
支援員のTさんにうかがうと、新年度になり、スタッフの方が増えたり、
この日は、いつもと違う部屋で大勢の人と一緒に昼食を食べたりしたためか、
落ち着かない様子だとのことでした。
そんな日もあるよね。
春は楽しいばかりではないんです。
特に、変化が苦手な方にとっては、舞い散る桜花さえ辛いのかもしれません。
うちの自閉症の息子は、いっぽさんとは別の生活介護施設に通所していますが、
みんなで楽しく桜を見ながら、外でお弁当を食べようという日、
いつもと違うその状況が辛かったのか、せっかくの花見弁当が喉を通らなかったようです。
Hさんはまだ、いっぽさんに通所しはじめて2ヶ月。
初めてのことがいっぱいで、不安になるのも当然でしょう。
さてそこで、今回のセッションはHさんの気持ちを慰めることと、
Nさんが思う存分、好きな音を楽しめるようにすることをめざしました。
Nさんは、以前のセッションでお気に入りになったプサルターを
今回も目を輝かせて弾き始めました。
Hさんが落ち着かない様子であることも、理解されていて、
Hさんのことを「待っているよ!」というように、
穏やかな表情で、一心に弦に弓を滑らせて、プサルターを鳴らしていました。
「ドシラソファミレド」と下降する音階を弾くことを提案し、
どの弦を弾くのかを指差しで伝えながら、「春の小川」を歌ってみると、
プサルターと歌が響き合ってとてもきれいでした。
そうしているうちに、Hさんが席に着くことができました。
Hさんには、ツリーチャイムをすすめ、
Nさんのプサルターと、梶谷の歌と、Hさんのツリーチャイムで、
「春の小川」を演奏してみました。
ツリーチャイムの手触りと輝く音に、次第に集中し始めたHさんの独り言が、
だんだん「エレベーターに乗ります!」というような楽しい内容に変わっていきました。
その後、ボルドンライアーを1台ずつ二人に手渡すと、
じゃんじゃん鳴らすのではなく、
少し鳴らしては手を止め、互いの音の響きを聴き合うように耳を澄ませる姿が見られました。
写真には写っていませんが、梶谷がソプラノライアーで、
二人の響きに合わせて即興演奏をさせていただきました。
この頃にはHさんの独り言もつぶやきに変わり、落ち着かれた様子でした。
支援員のTさんは、目を閉じて聴き入っておられました。
静かな響きに満たされたひと時でした。
またお待ちしております。
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好きな音を楽しむ時間を、いかがですか。
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