日曜講座にて、ある男の子の音楽療法セッションをお引受けしております。
とてもかわいらしい、利発な男の子です。
ここではA君と呼ばせていただきます。
音楽が好きで、御両親の好きな様々なポピュラー音楽をたくさん聴いて育っていて、
とてもユニークなのは、自分で何やら歌をたくさん作って(頭の中で)
いっぱい歌って聴かせてくれるところ。
そんなA君は、集団活動になじみにくいところが玉に瑕。
お母さんが、小学校入学までに、どうにか集団活動になじめるように、
周囲とのコミュニケーションがうまくとれるように、という願いをもって、
A君と一緒にいらしっしゃいました。
2023年8月27日(日)、高松市内の<モミの木の家事務所>を会場にして
月に一度開いている日曜講座にて、
A君の4回目の音楽療法セッションを行いました。
A君は、過去3回のセッションでは、
とにかく自分の歌を私とお母さんに聴いていてほしい、邪魔せずに、
というスタンスでした。
見守っているとずっとその調子でセッションが終わってしまいそうなので、
「順番ね。A君の次は、かじかじ(梶谷)の番ね。」と一応のルールを作り、
A君の歌があまり長いと、繰り返されるサビ(⁇)の途切れ目で
すかさず私が、「カ~ン」とビブラスラップ(「与作」のあの音の楽器)を鳴らし、
お母さんの笑いと共に、「はーい、交代です!」と宣言して、
少しだけ、私が提案する音あそびや歌あそびに誘ってみる、という具合でした。
それが、です。
第4回目となる今回のセッションでは、なんと、A君から、
「かじかじ先生、ピアノ弾いて。」「かじかじ先生、たいこやって。」など、
自分の歌の相方に、私を指名し、楽器も決めてくれるようになったではありませんか!
彼の世界に、私を招いてくれるようになったのです。
私がこれまで、「A君、これを一緒にやってみよう。」と誘ってきたことを、
彼も、やってみよう!と思ってくれたようでした。
今回のセッションでは、
私の鳴らし方をとてもよく見て、よく模倣をしようとしながら、
一緒にグロッケンを鳴らして楽しむ場面があったり、
途中、「今日はずっとボクの番がいい~」と大泣きする場面があったり、
(ちなみに、この時は「明日もずっとボクの番だよ~」とも言って泣いていました。
なんとカワイイことでしょう!)
その大泣きから、お母さんが渡したリンゴジュースと、
梶谷の鳴らしたベルハーモニーの音で、A君が気持ちを切り替え、
自分から見事にリカバリーできたり、
と、45分のセッションの間に、
A君と私の間に、とてもドラマティックな展開がありました。
子どもが泣くことは、悪いことではありません。
むやみに泣かせるのはいけませんが、
子どもが自分の思いを泣くほど主張し、伝えようとすることは、
時と場合によっては、止めずに思いっきりさせてあげながら、
受け止める(必ずしも「受け入れる」ではなく)ことが大事だと思います。
A君は、大泣きしながら、たくさん思いを表現してくれました。
そして、梶谷がそれを受け止めながら、
ペンタトニックの音のベルハーモニーで、
静かに優しくゆっくりとわらべ歌のようなメロデイを鳴らして、
彼のリカバリーをじっと待っていることに、
A君はやがて気付いて、泣き止み、手を伸ばして一緒に鳴らし始めたのでした。
私がベルハーモニーをA君に譲り、グロッケンを持ってきて奏で始めてもそのまま続け、
2分20秒ほど、静かな音のコミュニケーションが続きました。
このように、彼の「歌」以外の音を、長く一緒に奏でて楽しめたことは、
これまでありませんでした。
すばらしい変化、進歩です。
音楽が、A君とのコミュニケーションの扉を、確かに開いてくれました。
この後、彼は、
「かじかじ先生、ピアノ弾いて。」
「黄色がいっぱいある歌、『カブーソー』歌うよ。」と、
この日一番の自信作の彼の歌を、最後に一緒に演奏しました。
終わった時、「終わるのが早かった!」と文句を言われましたが(笑)、
満足そうな表情でセッションを終えることができました。
この「黄色がいっぱいある歌『カブーソー』」のクライマックスシーンの動画を、
Facebookにアップしております。
よろしければ御視聴ください。⇒ https://www.facebook.com/reel/695578392469047
A君、また次回の日曜講座で待ってるね!
次回は、2023年9月24日に、第17回日曜講座を予定しております。